"MIT Covid-19 Update”というメールを受け取りました。
ハイライトは次の通りです。
学生や職員らの約85%が、ワクチン予防接種の証明を提出した。 医学的または宗教的免除を受けたのは1パーセント未満。
キャンパスにアクセスするすべての学生らは、7月30日までに予防接種を終えた証明を提出するか、免除を受ける必要がある。
ワクチン接種を完了した場合、MITは7月30日に屋内でのマスクと食事の制限を緩和する。
CDC(疾病対策予防センター )や国務省によってリスクが高い・非常に高いと見なされた国を除き、MITの予防接種要件を満たした個人は旅行を許可する。
日本では夏の五輪開催が近づくなか、東京では7月12日から8月22日まで4回目の緊急事態宣言が出されました。また、私が5月末まで住んでいたインドネシアでは、感染が急拡大して、日本の駐在員らを一時帰国させる政府臨時便の運航も決まりました。
そんななか、アメリカ・ボストンの大学では屋内でのマスク未着用が認められます。NYタイムズによると、ブロードウェーミュージカルも再開しようとしています*1。
アメリカのコロナ感染は目に余る状況でした。
トランプ前大統領が再選を目指した大統領選挙の取材でコロナ禍の20年10月~11月に首都ワシントンに1カ月ほど滞在しましたが、街にはほとんど人がいませんでした。暴動警戒で商店のガラス窓にはベニヤ板が全面に張られ、物騒さも感じました。同じ年の1月に出張したときは、地元ファンでにぎわうNBA取材もできたため、落差がとても大きかったです。
そこからワクチン開発をきっかけとした立ち直りは、目を見張るものがあります。最近は感染者が再び増加に転じて、ロサンゼルスでは屋内でのマスク着用が再び義務化されるというニュースも入ってきました。まだまだ、いったりきたりでしょうが、確実にアフターコロナに向かっている印象は受けます。はやりの言葉、「レジリエンス」(弾力。復元力。病気などからの回復力。強靱さ)ということでしょうか。
MITではコロナ下の2020-21年、すべての授業を「オンラインだけでも受講できる」対応をしていました。知り合いの学生の一人は、母国から完全リモート受講で、一歩もキャンパスに足を踏み入れることなく、5月に卒業しました。
運営は手探りで、こんな興味深い話も聞きました。
MITは昨年の秋学期から、対面授業(in person)とオンライン授業を組み合わせた「ハイブリッド授業」も試みました。学生の一部が教室にやって来る一方、講師や一部の学生が自宅などからリモートで一緒に講義を受ける「ハイブリッド」でした。
ただその後、「定量的に分析した結果、パフォーマンスがとても悪かった。このため次年度にハイブリッド授業は行わない。引き続きコロナ対策が必要な場合は完全なオンライン授業としつつ、秋からできるかぎり完全な対面授業の再開を目指している」と、21年の春先に表明していました。
秋からのキャンパスでの講義再開は、留学生たちにとっては朗報です。やはり現地に行ってこその経験や熱量、ネットワークに価値を感じているためです。
いま気になるのは、「コロナ格差」と「中国と米国との関係」です。
日本政府は、留学生の貴重な機会を「接種の遅れ」で奪ってはならないと、留学生向けにワクチン接種支援事業を実施しています(*2)。私もこの支援事業で、間もなく2回目の接種を済ませる予定にしています。
「接種を済ませてないとキャンパスには入れません」というMIT側の接種を求めた文書も提出して、接種が認められました。これは、支援事業の条件に「渡航先でワクチン接種が必須または強く求められている」と記されていたためですが、対象外となるケースもあるそうです(*3)。
また、大使館や領事館でのビザ面接も、通常より人数を制限しており、予約が取りづらい状況が続いています。私は1日に何度も専用ウェブページにアクセスして、やっと希望日時に予約することができました。そんな一つひとつをクリアしてやっと留学が実現するので、「今は見送ろう」と延期する知り合いもいます。
ただ、アメリカでみれば、もう先に向かって動き出しています。コロナの対応の差で、このギャップはますます広がるでしょう。
もう一つの心配は、中国の同級生がもらした一言です。
オンラインで講義をいま一緒に受けているのですが、「ビザが断られた。この秋には行けないかもしれない」と、弱々しく言っていました。原因は定かではありません。
私がボストンに留学した5年前は、中国から飛行機とバスのツアーでハーバードやMITに見学者がどっと押し寄せてきていました。トランプ政権の4年間で、その風景がどう変わってしまったのか。バイデン政権はどう対処しているのか。渡米まで1カ月を切るなか、注目しています。


お疲れ様です。
アメリカの現状を、こういう形で知ることができ、とても興味深かったです。そして、アメリカがどういう国なのかということも、改めて考えるきっかけともなりました。
「マスクくらい、しとけばいいのに…」というコメントにあるように、日本だったら、同じ回復傾向にあったとしても、マスクなしOK!とはならないでしょうね。大統領選の時に「日本はまだマシですよ」と仰っていたのが、今となっては懐かしいです。
幸い私は普通に仕事を続けていられますが、顧客はレストランの方がほとんどなので、お金のこと云々よりも、最近は「普通に働きたい」という心からの叫びを感じています。中国の方と同様、国のルールによって人々の生活はもちろん、経済まで変るわけですから、MBAで学ぶ者として今後をしっかりと見ていきたいと思います。
これ以上悪化せず、せっかくのMITライフを満喫できることをお祈りしております。