おはようございます。今日、正確に言うと7日(月)はMITスローンフェローMBAの講義初日でした。
世界41カ国からオンラインで集う学生たちの時差に考慮して、夏学期は同じ内容で2部制で行われています。日本人らアジアからは、日本時間の午後7時(米東部時間の午前6時)からの前半セッションへの参加が多いです。
1コマ75分~90分の講義が3コマ連続。休憩は各15分で、毎日講義を終えるのは23時45分。今日はさらに、グループワークをするメンバーと設定したミーティングがあり、8日午前1時27分にZoomをやっと閉じました……。
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最初の講義は、Introduction to Marketing and Strategy (マーケティング・経営戦略入門)で、Zoom上の参加人数は約半数の74人。担当するダンカン教授はNZ出身で、MITに来る前はシカゴ大ビジネススクールでも教えていました。
序盤の自己紹介で、興味深かったのはMITの教授として時間をどのように使っているかという点です。
We don't spend too much teaching.
(学生に教える時間に多くは割いていない)
こう話すダンカンによると、教壇に立つ時間は全体の10%に対して、60%は研究をしているといいます。この割合はアメリカ国内でも珍しいようで、「MITは研究にフォーカスした機関なんだよ」。ちなみに残りの時間は、企業のコンサルティングなどをしているそうです。
緑色のラコステ製ポロシャツを着たダンカンは、聞き取りやすい英語で続けます。
How engage. How contribute to the class discussion?
(クラスディスカッションにどうやって関わり、貢献する?)
皆さんはアメリカのビジネススクールといえば、何をイメージされるでしょうか。その一つには、ディスカッション中心の講義スタイルがあるかと思います。さらに、Cold call (コールドコール)という言葉もご存じかもしれません。
これは教授が、前触れなく1人の学生を名指しして「この点についてどう思う」と発言を冷徹に求める行為です。事前の予習が大前提で、準備不足や回答が思いつかないと背筋が凍りますね。
「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」と勢いがあったかつて、日本からアメリカのビジネススクールには大勢の社費派遣の学生がいました。その当時の様子を振り返った回顧録では、「コールドコールの対策は、議論が深まったり、横道にそれたりする前に、議論の初期段階で発言を済ませてしまうことだ」と、大まじめに指南する事例もありました。英語コミュニケーションが苦手な日本人が考えた苦肉の策です。
時は過ぎて2021年の夏講義。ダンカンは言います。「たくさん手を上げている学生に、コールドコールは無い。noble strategy(すばらしい戦略だ)」
そうして始まった本編。
ふたを開けたら、zoomの挙手ボタン表示は常にこんな感じでした。
正確には数えていませんが、20人~30人ぐらいが常に挙げている状態です。そして、我らが日本人もガンガン挙げて、質問したり、当てられて答えたりしていました。
私も、ほとんどずっと挙げていたのですが当たらず。クラス全体の積極性の高さには新鮮な驚きがありました。冷めた議論になるはずもなく、ダンカンはむしろ進行のために挙手を無視せざるを得ない状況が多々でした。
これまでのオリエンテーションで、プログラムのモットーは「No Fellow Left Behind」(誰も置き去りにしない)だと聞いて、牧歌的な雰囲気すら漂っていたのですが、やや競争的にさえ感じるほど。私は、挙手ボタンを押しながらも、「当たったら、うまく発言できるかな」と、文字どおり胸のドキドキが続きました。
こうした英語主体のディスカッションの場面で、日本人は「控えめだ」「積極性が低い」と言われがちです。私も特派員として取材した国際会議で、日本人のそうした態度や場面を見かけることが少なからずありました。
少し前には、ホワイトハウスの会見でトランプ大統領(当時)から指名された日本人記者の英語が伝わらず、「ごめん、マジなにいってるか分からない」とコケにされたことも話題にもなりました。日本人による英語修得との戦いはこれからも続きます。私もむちゃくちゃ、もがいてます。
ただ、「積極性が無い」はステレオタイプな見方なのかもしれません。今日は事前準備に時間がたっぷりあったDAY1だからなのか、米国MBAに行く日本人ならではなのか。もうしばらく、定点観測をしてみます。
ここまで書いて、時刻は午前3時すぎ。起きたら予習・復習、夜から講義、未明に就寝という生活をしばらく続けます。Newsletterを執筆する時間帯も、考えないといけませんね。
無事に初日スタートされたようで、お疲れ様です。
74人で20~30人の挙手合戦、グロービスのほぼ倍なのでその激しさが想像できます。世界で勝ち抜いていくのは本当に大変ですね。MITでもぜひAを取り続けてください。
私もグロービスの初日ではカルチャーショックを受けました。こんな世界があるのだと。ザ・日本人の私としては人の倍の勇気がいりましたが、リスクフリーが約束され良き仲間と講師に恵まれたことで、その壁を破ることができました。
いまは出社ながらzoom会議しており、どうにかグロービスのエッセンスを取り入れ活性化を考えておりますが、なかなか難しいですね。zoom以前に、意識改革が必要です。 改めてビジネススクールの仲間や環境が、どれだけ自身の成長に繋がっているかを実感しています。
夜のお勤めのような生活ですが、どうかお身体にはお気をつけくださいませ。
日本企業のケースで早めに当ててくれと言ってもネタバレを避けたい先生がなかなか当ててくれなかったり、イギリス企業の事例が分からずずっと黙っていたらCold callを食らったり、懐かしいです。
楽しみですね。ご活躍を!